シンポジウム

●第3回トイレシンポジウム

第3回トイレシンポジウム

日時:2013年7月13日(土)

場所:長崎ブリックホール 国際会議場

シンポジウムポスター

「みんなにやさしいトイレ会議」が取り組んできた トイレシンポジウムも、今年で第3回。 「長崎のトイレ文化の、基本の『き』!? うんこの『う』!?」と題してトイレ環境コンサルタントで、絵本作家としても活躍されている村上八千世さんに講演していただきました。

 

 

【第1部】トイレメンテナンス基本の「き」

トイレの臭いは意外なことに、臭気の逆流を防ぐためのトラップの不具合や、雑巾やモップなど掃除道具を湿ったまま保管しているのが原因となっている場合が多いというお話。いくら掃除をしてもとれないニオイに悩まされている方は多いのではないでしょうか?

やさしい語り口でトイレの汚れとニオイの正体を解き明かす村上さんのお話に、何度もうなずきながら、皆さん熱心に聞き入っていました。

 

村上八千代氏
講師 村上八千代さん

 

トイレで大事なのは、何と言ってもメンテナンスです。メンテナンスの仕方と汚れの関係をグラフで分かりやすく説明していただきました。そしてトイレの清掃作業を委託する場合には、排水トラップを外して内部を洗浄し忘れずに水を補給すること、床面を濡れた状態にしないで拭きあげることなどの作業内容を仕様書の中で具体的に指示することや、作業員の教育によって質の高いメンテナンス体制を作り上げること、管理担当者がきちんとした清掃知識を持って適切な費用の積算を行い、「安かろう、悪かろう」の発注体制から脱却することが求められているというお話でした。

公共トイレの管理を担当する市役所の職員の皆さんには、ちょっと耳の痛いお話だったかもしれませんが、公共トイレの整備がある程度進んできた今日、大切に気持ちよく使い続けるために、維持管理の体制整備が必要とのお話は、とても重要なご指摘でした。

 

 

【第2部】絵本で学ぼう!うんこのこと、健康のこと

うんこのことについて学ぼう!
うんこのことについて学ぼう!
ちびっ子たちも熱心!
ちびっ子たちも熱心!

 

 

 

 

 

 

 

 

第2部は、子どもたちやお母さんを対象にした『便育』のお話。 村上さんは、「学校でトイレにいけない子どもたち」が増えている現状を紹介、恥ずかしがらずに排便するために、幼い頃から「うんち」は誰でもするものという基本的なことを、親から子に教える必要があることを強調しておられました。

最近の子どもたちの中には、学校のトイレで初めて和式の便器を見たという子もいると言います。 そんなこともあって、失敗しない和式便器の使い方を子どもたちにも分かりやすく説明してくれました。

最後は「うんこダスマン体操」で締めくくり!元気なうんちをするための、「5つのからだのびのびのじゅつ」を、身体の動きに取り入れて振付けた体操です。参加してくれた子どもたちだけでなく、大人の参加者もいっしょになって「うんこダスマン体操」を楽しく練習しました。

 

みんな体操は得意!
みんな体操は得意!
子供たちに質問です!
子供たちに質問です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さいごに・・・

今回のシンポジウムの企画を練ってから約半年、会場を長崎ブリックホールの国際会議場としたため、空席が目立つのでは?と心配するメンバーもいましたが、約30人の子どもたちの参加もあり、昨年に劣らない熱気に包まれたシンポジウムとなりました。

運営を支えてくださった実行委員の方々や、サポートメンバー、市のまちづくり事業推進室の職員の皆さん、そしてなによりもシンポジウムの参加者の皆さんに感謝しながら、ご報告させていただきます。私たち「みんなにやさしいトイレ会議」実行委員会では、これまでの3回のシンポジウムをはじめとする各種の取り組みをもとに、みんなが望む公衆トイレ基準や既設トイレの理想的な改修プランをまとめ、市に提言することとしています。

9月には昨年に引き続き「トイレ川柳の募集」を企画しております。皆様のご支援をよろしくお願いします。


●第2回トイレシンポジウム

第2回トイレシンポジウム「長崎のトイレ文化はもういいかい?」

第2回トイレシンポジウムの様子

日時:2012年6月30日(土)14時30分~16時30分
場所:長崎市立図書館多目的ホール
「長崎のトイレ文化はもう、いいかい !?」と題した第2回トイレシンポジウムを開催。日本トイレ協会の「平田純一会長」と、昨年に引き続きトイレ設計の第一人者「小林純子」さんの基調講演には、市民の方々はもちろん、行政関係など約200名の方々の参加で関心の高さを実感しました。

 

 

「長崎からトイレ文化を発信しよう」日本トイレ協会 会長 平田純一氏

「トイレ文化伝道師を自認される話芸に魅了!」

世界の70ヶ国以上を訪問し、トイレ文化を研究してこられた平田会長のお話は、長崎の身近な話題を切り口に、トイレ文化を考えるきっかけとなる大変興味深いものでした。江戸時代の日本と、セザンヌの絵から読み解く当時の西洋のトイレ事情の比較のお話や、地方のトイレ研究の話題が小さな新聞記事になり、そしてそれが全国紙での紹介に波及していき、「トイレ考古学」として出版されるにいたった事例など、聴衆を引きつける話題と話芸は、さすがトイレ文化伝道師を自認なさる平田会長ならではのものでした。

 

「長崎らしく8カ国語のトイレ表示を!」

「長崎歴史文化博物館の資料閲覧室を利用してトイレに関係する長崎の方言を収集研究してはどうか?」「長崎を訪れる外国人向けに、公共トイレの案内板を国際都市にふさわしく8ヶ国語で表記してはどうか?」といった興味深い提案と共に、全国にトイレ文化を発信するトイレ先進地になってほしいとエールを送っていただきました。今回の長崎訪問で、従来はなかったとされている「出島」の発掘調査でトイレ跡が発見されたことを知ったのは非常に大きい収穫だった、というまさに取れたてのお話も披露していただきました。長崎に住む私たちには「出島」は改めて意識することのない史跡ですが、訪問者にとっては新鮮な知の楽しみの場でもあるのだということに気づかされました。

 

平田氏
平田純一氏
「下水文化研究」
平田会長に頂いた貴重な「下水文化研究」

 

 

 

 

 

 

 

 

※講師紹介 「平田純一氏」

1957年東洋陶器(株)(現TOTO)に入社。 トイレの設計、開発、マーケッテイング、広告宣伝などを担当。 1967年頃から現在まで海外70ヶ国以上を訪問、観光とトイレ文化の研究を行う。

現在 TOTO(株)顧問、 (社)国際観光施設協会相談役

●現在の関心事 トイレ文化の国際比較

●著書 「トイレの窓から」(扶桑社)「トイレットのなぜ?」(講談社) 「トイレの大常識」(ポプラ社・監修)など

 

 

「学校のトイレ」設計事務所ゴンドラ 代表 小林純子氏

「学校のトイレは10年遅れている!」

小林純子さんには大変お忙しい中を来崎していただきました。学校で排泄が出来ない子供たちが増え、今、問題になっている「学校のトイレ」学校生活の中でのトイレの使われ方や、アンケートから見えてくる子どもたちの思いに胸が痛くなりました。家庭のトイレが時代とともに大きく進化してきているのに比べて、学校のトイレは全国的に見ても随分改修が遅れている現状などを知ることが出来ました。(学校のトイレは10年遅れているそうです。25年も改修していない学校のトイレが75%!) 長崎でも校舎や体育館の耐震改修が進められてきた中で、トイレはずっと後回しにされていることを思うと、もっともっとたくさんの学校の先生方に聞いてほしかったお話でした。 小林さんは自分が過去に設計したトイレを追跡検証していく中での、反省点にも触れられましたが、自らの仕事の反省を、公の場で明らかにすることは大変、勇気のいることだと思います。小林さんの誠実さとトイレ設計に取り組む真摯な姿勢を 改めて知ったことも私たちにとっては、大きな収穫でした。

 

小林純子氏
小林純子氏
来場者からの質問
来場者からの質問に答える両氏

 

 

 

 

 

 

 

 

※講師紹介 「小林純子氏」

設計事務所ゴンドラ代表。1967年日本女子大住居学科卒業、田中・西野設計事務所等を経てゴンドラを設立。日本トイレ協会副会長、文化女子大非常勤講師、ノーマライゼーション研究会副代表。駅、学校、公園等の公共トイレの設計が活動の中心になる。既成概念にとらわれない公共トイレのデザイン、また、持続する快適さの創造が設計テーマ

●著書  変わる学校のトイレ(草土文化) 心に響く空間(弘文堂)

 

 

さいごに・・・

当日は昨年同様?雨模様でしたが、200席を用意した市立図書館多目的ホールは有料(500円)にもかかわらずほぼ満席。講演の後の質疑応答も活発で、長崎の公共トイレが安心・安全でみんなにやさしいトイレであって欲しいと望む参加者の皆さんの関心の高さと熱気に、本当に勇気づけられた一日になりました。 シンポジウムの開催を決めてから半年、実行委員の方々やサポートメンバー、市のまちづくり担当の職員の皆さんに支えられて、ようやく開催にこぎつけました。私たち「みんなにやさしいトイレ会議」では、今後は、「トイレタイムス」の発行やトイレ川柳の募集(9月)を企画しております。皆様のご支援をよろしくお願いします。

 

来場者①
来場者②

 

 

 

 

 

 

 

質問をする参加者      

 


●第1回トイレシンポジウム

第1回トイレシンポジウム

第1回トイレシンポジウムの様子
日時:2011年6月18日(土)
小林純子さんをお招きしてトイレシンポジウムを開くことは大げさではなく、私の長年の夢。実は、実現出来るかどうかわからない時に、ちゃっかりお願いだけはしてました。(正直、ほっと。)何はなくても夢だけで先走る私を、しっかりと支えてくれた委員の方々、また長崎市まちづくり推進室のサポートに恵まれたのも大きな力でした。
小林さんのテーマは「トイレから見えるもの」リクシルの羽柴さんは「先進のトイレって?」当日、大雨にも関わらず会場は200名以上の方々の熱気であふれました。行政からの参加者も多く、男性が目立ったのも新鮮な驚きでした。終了後「とても面白かった。もっと聞きたい。専門的な話が聞ける機会が少ないので良かった・・・」お礼の言葉をたくさん頂いたことは何よりの励みです。トイレ活動は、地味で地道。勝手に好きでやっているみたいに思われて、余り誉められたことはありません。でも今回は特別!本当にやって良かったと実感。反面、少なくとも約束の3年間は、活動を継続させないといけないという責任を感じた1日でもありました。

 

小林氏講演の様子
小林純子氏講演の様子
羽柴氏講演の様子
羽柴千明氏講演の様子

 

小林氏
小林純子氏

※講師紹介 「小林純子氏」

設計事務所ゴンドラ代表。1967年日本女子大学住居学科卒業、田中・西野設計事務所等を経てゴンドラを設立。日本トイレ協会理事、文化学園大学非常勤講師、ノーマライゼーション研究会副代表を務める。アミュプラザ長崎(ミラクルトイレ)、森山町すずめのお宿、アミュプラザ博多(2011年3月)、キャナルシティ博多(2011年3月)等のトイレを設計。